近年、火災保険の虚偽申告が増加中です。
テレビや新聞で、火災保険の虚偽申告をして逮捕されたと聞いたことがある方も多いでしょう。
「どのように保険金を申請すると、虚偽申告となるのか?」
「もし保険会社に虚偽申告かバレたらどうなるか?」
本記事では、巷では知られていない「火災保険の虚偽申告がバレる」とどうなるかについて解説します。
この記事を最後まで読むとわかること
・虚偽申告がバレると違約金が発生したり、保険会社のブラックリストに載ったりするかも
・最悪の場合…詐欺罪に問われる可能性も十分にある
火災保険の詐欺?虚偽申告とは?
近年、火災保険の不正請求や虚偽申告によるトラブルが増加しています。
しかし、一体どのような請求が虚偽申告に該当するのか知っていますか?
虚偽申告に該当する、よくある事例を紹介します。
わざと壊した損害を申請する
わざと家の中にあるテレビやタンスを壊した場合は、虚偽申告と見なされて保険金は貰えません。
故意による破損については、補償の対象外です。
例えば、お子様がおもちゃを投げてテレビを壊してしまった、つまづいて食器を壊した場合などは、家財保険の「不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)」で補償されます。
盗難被害に遭ったと申請する
「自宅の現金が盗まれた」と保険会社に嘘を伝えるのも、虚偽申告に該当します。
そもそも、空き巣や盗難が原因で、建物や家財に損害を受けた場合は補償対象です。
損保ジャパンでも下記のように明記しています。
現金の盗難は補償されますか?
:個人用火災総合保険において、家財が保険の対象である場合、保険証券記載の建物内における生活用の通貨等の盗難に遭った場合は補償されます。
1回の事故につき、1敷地内ごとに20万円が限度となります。
自己負担額を差し引かずに損害の額をお支払いします。引用:損保ジャパン
実際に盗難の被害に遭っていないのに、不正申請すると虚偽申告になります。
経年劣化が原因の損害を申請する
経年劣化による損害は、火災保険の補償対象にはなりません。
経年劣化とは、長年使用することでできる損傷や汚れを指します。
損保ジャパンのホームページでは以下のように記載されていました。
保険の対象建物の自然の消耗もしくは劣化(注1)または性質による変色、変質、さび、かび、腐敗、腐食、浸食、ひび割れ、剥がれ、肌落ち、発酵もしくは自然発熱の損害その他類似の損害による修理費用はお支払いの対象とはなりません。
(注1)日常の使用に伴う磨耗、消耗または劣化を含み、保険の対象が建物の場合は、屋根材等のずれや釘のゆるみ、浮き上がり等を含みます。引用:損保ジャパン
明らかに経年劣化が原因の損害と知っていながら、自然災害の被害として申請することは虚偽申告です。
わざと水増し請求をする
わざと水増し請求をしても、虚偽申告とみなされます。
水増し請求とは、損害金額を上乗せして申告したり、本来は申請できないリフォーム修理費用も一緒に申請したりすることです。
火災保険の虚偽申告は保険会社にバレるのか?
火災保険の虚偽申告をしたら、保険会社に確実にバレます。
保険会社は、被害報告されたものを何でもかんでも受け付けているわけではありません。
火災保険の不正請求については、保険会社も危機意識を持っており、監視体制を強めています。
東日本大震災の際に、保険会社のチェック体制が一時甘くなってしまい、不正請求を勧める悪徳業者が横行し始めたといわれています。
自動車保険の等級引継ぎに関しては、保険会社間での情報共有や監視体制は万全です。
例えば、保険会社を変更しても等級の引継ぎは可能ですが、等級に関する申請不備があれば、即ベンディング(保留・注意喚起)がかかります。
前契約中に事故があり保険を使用しなかった場合でも、保険会社から「保険は使用していませんか?等級は下がっていませんか?」と確認報告がきます。
しかし、火災保険に関してはこのような保険会社間の情報共有がありません。
残念ながら、不正請求がしやすい保険ともいえます。
火災保険の虚偽申告がバレたらどうなるの?
もし火災保険の虚偽申告がバレたら、どうなってしまうのでしょうか。
虚偽申告がバレた場合に考えられる、保険会社の対応は以下のとおりです。
- 保険会社のブラックリストに入る
- 保険金の返還請求がされる
- 火災保険を強制解約させられる
- 保険金詐欺で保険会社から訴えられる
虚偽申告をした人のほぼ全員が、要注意人物としてブラックリストの仲間入りです。
ブラックリストに入れば、本当に被害が遭って保険申請をしても、虚偽の申告と疑われ支払いが困難になる場合があります。
さらに、保険会社から保険金を返してもらうように通告があったり、保険会社との信頼を損ねたことを理由に強制解約させられたりします。
最悪の場合、保険金詐欺に該当すれば、刑事罰(詐欺罪)になる可能性も決して0ではありません。
火災保険の虚偽申告を勧める悪徳業者に要注意
近年は、火災保険の虚偽申告を勧める悪徳業者が横行しています。
経年劣化が原因の損害なのに「火災保険で保険金が貰えるので、申請しましょう」と不正請求をそそのかしたり、必要のない修理をさせたりする被害が増加中です。
日本損害保険協会では以下のような注意喚起をしています。
画像出典:日本損害保険協会
全国の消費生活センターにも「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など甘い言葉で勧誘する業者に関する相談が多く寄せられています。
画像出典:国民生活センター
実際に相談された内容も紹介します。
令和元年秋台風の影響で雨漏りをしていたところに、事業者から「火災保険の保険金で修繕ができる」と電話があり、訪問を受けた。事業者が屋根の損傷箇所を撮影し、約400万円の工事見積もりを出した。保険申請は事業者がすべて行ったが、「自分たちの存在は保険会社に伝えないでほしい」と言われ、少し不審に思った。その後、保険会社の鑑定人が家を診て、見積金額全額は出ないと言われた。契約時に違約金の説明はなかったが、書類をみたら工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払うと書いてあり、悪徳商法にひっかかったと思った。契約をやめたい。
(2020年6月受付 40歳代、男性)
引用:国民生活センター
断言しますが…火災保険の知識がないと、悪徳業者に騙されやすいです。
知らない間に不正請求のトラブルに巻き込まれる確率も高く、最悪の場合、詐欺罪に問われるかもしれません。
知らないうちに詐欺に加担させられないように、しっかりと火災保険の知識を身に付けていきましょうね!
火災保険の虚偽申告はバレるので絶対にやめましょう
火災保険の虚偽申告は、ほぼ100%保険会社にバレます。
保険会社も虚偽申告に関する監視体制を強化しており、保険会社によっては不正請求に関する対策チームを作っています。
「毎月の保険料もたくさん払っているし、ちょっとぐらい嘘をついても大丈夫でしょう!」
軽い気持ちで火災保険の虚偽申告をすれば、保険金の返還請求や解約、最悪の場合は詐欺罪で訴えられます。
火災保険の虚偽申告は、絶対にやめましょう!